SMA Month オンライン講演会セミナーレポート
~分身ロボットを活用した新たな働き方、社会とのかかわり方について~

2020年8月9日(日)に「SMA Month 2020」最初のプログラムとして、株式会社オリィ研究所代表取締役所長で分身ロボットOriHimeを開発した吉藤オリィ氏によるオンラインイベントを開催しました。「分身ロボットOriHimeによる新たな働き方、社会とのつながり方について」をテーマに、吉藤氏による基調講演とSMA当事者を交えてのパネルディスカッションの二部構成で行われたものです。
SMA当事者として一般社団法人「ぐるり」の代表理事を務める今井雅子さんと、分身ロボットOriHimeを遠隔で操作するパイロットとして「分身ロボットカフェ」等で活躍中のSMA当事者「ふーちゃん」と「まやちゃん」の3名に、自宅から遠隔操作する分身ロボットOriHimeでご登場いただきました。

第一部:基調講演
重要なのは身体の自由が利かない方々がどのような挑戦をし、何を実現することができたか

吉藤オリィさんによる基調講演は「テクノロジーを駆使した新たな働き方、社会とのかかわり方について」をテーマに行われました。話の重要なポイントとして吉藤さんがあげたのは、OriHime という分身ロボットの進化ではなく、SMA当事者の方をはじめ、病気や事故などにより身体の自由が利かない方々が、OriHimeを使うことでどのような挑戦をし、何を実現することができたかということです。

孤独解消を目的とした分身ロボットの研究開発を独自のアプローチで取り組み、自身の研究室を立ち上げ、2012年株式会社オリィ研究所を設立、代表取締役所長。青年版国民栄誉賞「人間力大賞」、スタンフォード大学E-bootCamp日本代表、ほか AERA「日本を突破する100人」、フォーブス誌が選ぶアジアを代表する青年30人「30 Under 30 2016 ASIA」などを受賞。2018年デジタルハリウッド大学大学院特任教授就任。

吉藤 オリィ Ory Yoshifuji

株式会社オリィ研究所 代表取締役所長

yoshifuji

第二部:パネルディスカッション

第二部は、司会の森まどかさんと、オリィさん、そしてOriHimeを介して登壇する3名のSMA当事者によるパネルディスカッションでした。
分身ロボットカフェで働くことで人と話すことが苦手だと思っていたけど話すことに対して少し自信を持てた経験や、もう一つの体を持てたことで人との出会いやいろいろな挑戦をする機会がみんなと平等になって、障がいという意識がなくなった経験を共有いただきました。障がい者イコールリモートワークではなく、直接人と会うことも含めてさまざまな機会があることの大切さについてもディスカッション。また、自分の身体の介護を自分でできるようにすることなど、少し未来のお話も展開しました。吉藤オリィさんも、当事者の皆さんと一緒に考え、創り上げていくことの大切さと、創り上げた選択肢がこんなに広がってきていることを伝えてくれました。

~登壇者紹介~

ふーちゃん

「ふーちゃん」

SMA の私たちが楽しくいろんな活動していることをお伝えできたら
Ⅱ型SMAのため日常的に介助が必要で、できる仕事がなくて困っていましたが、2018年にOriHimeと出会って世界がとても広がりました。今年の7月に沖縄県の英語&プログラミングスクールに遠隔で「通学」し、無事卒業しました!

まやちゃん

「まやちゃん」

就職先が決まらず孤独を感じていましたが、勇気を出してOriHimeパイロットになりました。
兵庫県在住の23歳です。好きなことはお笑いやジャニーズを見たりすることです。Ⅱ型SMAのため1人で外出することが難しい状態ですが、分身ロボットOriHimeを活用して2020年7月27日からモスバーガー大崎店で働いています!

今井 雅子さん

今井 雅子さん

小さい時から“仲間”がいなかった経験をバネに、当事者同士の交流の機会を作っています
大阪府在住のⅡ型SMA、大学卒業後NPO法人で相談業務などの仕事をする。2015年から一般社団法人ぐるりを設立し、地域の多様な人が共生できる街づくりのため活動中。http://gururi.info/